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発達障害について
学校で仲間ができずうまくいかない、いじめられ感がある、職場では仲間とうまく交流ができない、気が散って仕事に集中ができない。これらのことで不適応を起こし来院される方の中にかなりの割合で発達障害の方が含まれています。
知的障害を伴わない発達障害の代表的なものは学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、広汎性発達障害(PDD)の三障害です。このうち知的障害を伴わないPDDをアスペルガー障害、あるいは高機能広汎性発達障害と呼んでいます。
私たちはそれぞれ生まれながらに得意な分野と不得意な分野を持っています。
そうした能力の「デコボコ」が定型発達に比べさらに強く、とりまく環境との関係で不適応状態を起こしやすいのが発達障害です。誰もが得意分野のみに関わって生活できれば問題は生じませんが、私たちを取り巻く現代の生活環境はストレスが多く不得意な分野で立ち向かっていくのは困難な場合があります。そのような場合、不適応状態を生じます。発達障害という言葉自体があまり良いイメージではありませんが、現状では生まれながらの能力のデコボコのためストレスフルな社会環境の中で不適応状態を起こした場合を発達障害と診断します。
他方、この能力のデコボコは歴史上の優れた研究や発明を成し遂げた多くの偉人たちにもみられることが多く、文明の発達の源にもなっています。
学習障害(LD)・・・
聴く・話す・読む・書く・計算する等に能力のデコボコがあって、知的には遅れはありません。そのほとんどは在学中に教育現場で見いだされることが多く、教育的な配慮が必要となります。
注意欠陥多動性障害(ADHD)・・・
主な症状は不注意・多動性・衝動性です。
不注意とは忘れ物が多い・気が散って集中力が続かない・片付けができない・仕事の事前準備や優先順位を決めることが不得意などです。成人するまでにはかなり改善されますが、大人になっても継続することが多く特に女性に多い傾向があります。
多動性とは落ち着かないことです。特に学童期に授業中立ち上がったり歩き回ったりします。この症状は、10歳ころまでにはほとんど改善されます。
衝動性とは自分の感情や行動のコントロールが不得意なことを言います。たとえば順番が待てなかったり思いついたらすぐに言ったり行動したりします。成人してからも、かっとなりやすく家庭内暴力に発展することもありますが、一般的には経験を積むにつれて軽減してきます。服薬等の治療は有効です。またカウンセリング等の第三者による環境調節も大切です。
広汎性発達障害(PDD)・・・
従来の自閉症症状はその概念が広がり「自閉症スペクトラム」とも言い、自閉症症状が弱い人から強い人まで全体を包括する概念です。知的障害を伴う場合と伴わない場合があり、後者をアスペルガー障害と呼んでいます。アスペルガー障害とは自閉性障害の中でも言葉の遅れや知的障害を伴わない場合をさします。
広汎性発達障害の主要な3症状は「1.社会性の障害」「2.コミュニケーションの質的な障害」「3.想像力の障害とそれに基づく行動の障害」です。
【社会性の障害について・・・】
友人関係を作るのが困難であったり、友人関係を作ることに関心を持たない。相手の表情や心理状態を読むのが不得意でグループの雰囲気が理解できず(空気が読めない)、マイペースの傾向があります。そのために周囲から浮き上がってしまうことが多くなります。【コミュニケーションの質的な障害について・・・】
言葉の発達が遅れたり、オウム返しの会話になったり、言葉以外の表情・視線・身振り等による交流が不得意です。【想像力の障害とそれに基づく行動の障害・・・】
深く想像力を働かせることが不得意です。たとえば、言葉を字義どおりに把握し背後にある文脈をつかむことができない・他人の表情から相手の心理状態をつかむのが不得意等。興味は狭い範囲に限られやすくひとつのことにこだわり、時にファンタジーをふくらませることもある。時間や空間の概念が読めず見通しをたてたりすることができず、変化があった場合それに対応することができない。ちいさなことにこだわり、全体の状況を把握することができないなどです。
これらの三症状のほかにも、音や臭いに過敏であるとか、運動や指先の細かい動作が苦手等もあります。
上述した症状からうつ病や不安障害・不登校・出社拒否等の二次障害が生じます。発達障害の診断はそのためにも「早期に」が必要であり、二次障害が起きた場合にも早期の治療が大切になります。
※現在日本で使われているアスペルガー障害等の診断名は、アメリカでは2013年より「自閉症スペクトラム障害」に統一されています。